超時空要塞マクロス TVシリーズより
早期警戒機 グラモア ES−11D キャッツ・アイ

(C)1982 ビックウエスト

先日、話題の「バルキリーマスターファイル」を読んでいたんですが、
いまどきの本らしくMATの「VF−1」やマクロスプラスのザ・セレクトを踏まえた上に
マクロスゼロを織り込んだ開発史は読みでがあってよい本なのですが、
ワシには違和感つ〜か、残念な感じがしてしまう1冊です。
どこらへんが残念かっていうと機体バリエーションや装備の開発があまりに予定調和的にスムーズなあたり。
最初っからVTやVEの開発が行われていたりするのってちょっと違うんじゃないかな?。
いつ来るは分からない異星人相手に開発した各種のメカニックは
数さえ揃わず、使ってみたら欠点だらけで、それを現場のアイディアで乗り切っていくというのが
初代マクロスらしいところではないかと。
それこそスーパーパックの開発は地球帰還中で、
完成以前にはアーマード用のバックパック付けてたり
模型記事用デザインの「ディープダイバー」みたいなのを試作したり、
ゴースト背負ってみたりしたんじゃないもんですかねえ。
まあ、確かにバルキリーあってこそのマクロスですが、
最初のTVシリーズの面白さってそこじゃなかったと思うんですよ。
陸軍や海軍にいろいろな現代風な機体がいて、
そこに現れた可変戦闘機という違和感こそがマクロスの真骨頂だったと思うのですよ。
まあ、現在ではバルキリーがレドームしょってるのが標準になっちゃってますが、それじゃメカの幅が狭くなるだけでしょ。
脇役がしっかりしてこその世界観。
で、こんな開発史考えてみました。


キャッツ・アイ 開発史

 ES−11Dキャッツ・アイは統合宇宙軍が運用した早期警戒機である。
 現在ではCVS−101プロメテウスの艦載機であったとする説もあるが、これはあきらかな事実誤認である。
理由はいくつかあるが、一番判りやすい理由を挙げるならばプロメテウスにはこの機体に対応したエレベーターが無いということであろうか。
 全長全幅ともにバルキリーの2倍もあるこの機体は当時の空母エレベーターの規格からは外れており、このサイズの機体に対応したのは
デストロイドを運用するために改装された「アスカU」か、プロメテウス級の次に計画されていたといわれる超巨大潜水空部アポロノーム級(※1)ぐらいである
 事実、確認されている物ではマクロス艦橋下の発着デッキにアプローチするキャッツ・アイのスチルや(※2)
マクロス艦橋前のカタパルトで発艦準備中のキャッツ・アイのスチル(※3)も確認されている。
また、プロメテウスにはE―2プラスというOTMを使用した次世代レーダー装備機が搭載されていたとする資料も発見されている。

 ES−11Dの原型機は対潜哨戒機のP−11Cである。
 主翼に2基の新型のターボプロップエンジンを搭載した3座の対潜哨戒機だったこの機体は、2飛行隊が南アタリア島に配備されており、
反統合同盟の潜水艦や強襲揚陸機動兵器(後に「オクトス」と判明。)の警戒にあたっていたが、
09年2月のマクロスのフォールドに巻き込まれ冥王星軌道まで飛ばされた。
 一緒に飛ばされた全てのものを艦内に収容したマクロスでは、この予想外の事態に戦闘に関するシステムのすべてを見直さなくてはならなかった。
 その過程で早期警戒・指揮管制機の運用も上げられたが、宇宙空間での長時間の使用を考えるならば
本来の搭載機であったE−2では改造のベースとしては小さいと思われた。
 そこで目をつけられたのがP-11Cであり、これを改造したのがマクロス技術班と南アタリア島に派遣されていた各メーカーの技師たちであった。

 原型機では一番前がパイロット席であり、オペレーターは機体内部で索敵作業を行っていたのだが、
宇宙機へと改造されるにあたってバーニアスラスターの増設の為に1席潰してさらに機内にあったシートを機体上部に移動させる羽目になった。
 その際、視界の良い上部の席にパイロットシートを移し、オペレーターを前席に押し込んだ。
 主翼にあったターボプロップエンジンは胴体に移され、主翼部には宇宙空間用のロケットモーターが装備されたが、
やはり本体部の燃料だけでは不足する可能性が高いとしてエンジンを覆うほどの巨大なスリッパタンクが装備された。
 外観的には以前のエンジンの外装をそのまま利用しているために高揚力装置が存在しているがロケットモーターの為に実用性は無い。
 スリッパタンクの正面には初期運用時の事故の経験から対宇宙微塵用の装甲プレートが増設された。
下面後尾には燃料投棄口が装備されている。
この投棄口は非常時にはロケットブースターとして使用可能である。
 搭載されたレーダーシステムは新規に開発する余裕がなかったために、あり物の技術を利用して制作されたが、
要求された索敵範囲を実現するためには直径がE−2用のものの倍ほどもある物となってしまった。

 この改修で種別をPから電子戦機のEへ変更し、宇宙空間使用機ということでSを付与してES-11Dとしたのである。
 その後、同仕様で残った機体を改修し、さらに同規格で新造の機体が制作された。
 宇宙機メーカー大手のグラモアがこの機の生産メーカーとされているのはこのロケットモーター関連の為である。

 この機体で得られた運用データをもとに2人での早期警戒・電子戦闘のノウハウが得られたことで
VF−1DをベースとしたVEFR−1(※4)がマクロス艦内で開発され、
更に地球帰還後に搬入されたファストパックを使用して宇宙用のVE−1が開発されることになってゆくのである。
 
第一次宇宙大戦後、地球へ落着したマクロス内には数機のES−11Dが残されていたが
宇宙ではVF−1との作戦行動が行いやすい新型のVE−1が投入され、
地上では装備の整ったEC−33C へとその座を譲り
急造の宇宙用早期警戒機はその役目を終えた。

 ※1:アポロ・ノーム級
 計画されていたプロメテウスの先にある超大型潜水空母。
全長900mと言われ、アームド同様に左右線対象な同型艦と同じく潜水能力を有した指揮戦艦と連結し
洋上司令部を形成する予定であったという。

 ※2:「ザ・セレクト上巻ピンナップ」
※3:「マクロスパーフェクトメモリー メカニック扉絵」

※4:VEFR−1
 一部の文献ではVF−1Gとされている機体。
統合軍の形式付与規定に照らせば用途記号が先に来ることになるのでVREF-1が正しいと思われる。





という訳で、TAC最多パーツ数の大物キャッツ・アイが完成しましたよ。
サイズは昔作ったAC3とかの方が大きいんですが、重量とパーツ数は最大。
なにせワンフェス会場でもやたらでかいんで、「これ1/72ですか?」と聞かれるくらいだった。
これが思いのほか健闘してくれて、持ち込んだ分は完売しました。
ありがとうございました。
展示品は主翼が分割してあったんですが、これは移動の為だけでなく
展示の時に翼畳んだら艦載の早期警戒機らしいな〜と思った為です。
ですが、小型のポリキャップが重さに耐えきれませんでした。

以前見た1/72もマスターファイルで制作されたCGの機体も
どうしたことか主翼のエンジンにインテークを開けちゃってます。
まあ、これは当時の色指定さんも勘違いしちゃっていて
先端部を黒く塗っちゃったことが原因なんでしょうけど。
設定画を見ると主翼のは「宇宙用エンジン」と「増槽」って書いてありじゃないですか。
同じ設定画で本体側のインテーク部分の表現があんなんなのに
主翼の方のが同じような表現になっていない時点で気付けよ。
まあ、雑誌なんかに収録された設定画の多くは
編集さんにコメントの書き込みとかは切られちゃうことが多いので
永遠に気がつかないことも多いわけなんですが。
ワシもきっといっぱい見逃してんだろうな。